ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
フレデリック・ラルー 著 592ページ
最近、やたら流行っているようなので、ミーハー精神を発揮してとりあえず読んでみました。
率直な感想として、約600ページはとても長い。。ですが、個人的には非常に面白かったです。
本書内で明記されているように、「進化型の新しい組織を作れるかどうか」「既存の組織を進化型に変革できるかどうか」は
1 経営トップが進化型の世界観をもっていること
2 組織のオーナーが進化型の世界観を理解し、受け入れていること
の2点にかかっているので、実際には「人事担当者」レベルがどう動こうとあまり影響はない
→本書内の言葉を借りれば「リーダーの意識が進化型に到達していない状況では、組織の垂直的な変容は最初から負けゲーム」
ということになってしまいますが、
進化型システムに変容するための三つの突破口(ブレイクスルー)
1 自主経営(セルフマネジメント)
階層やコンセンサスに頼ることなく、同僚との関係性の中で自主的に判断・行動する仕組み
2 全体性(ホールネス)
職場用の仮面をかぶらずに、ありのままの本来の自分で職場に存在できるような風土・慣行・文化
3 存在目的(エボリューショナリーパーパス)
組織自体が何のために存在し、将来どの方向に向かうのかを常に追求し続ける姿勢
を既存の組織に取り込むための工夫は、「人事担当者」レベルでもいろいろと出来そうだと思いました。
特に、【自主経営組織においては上司と部下が「不健全な親子のような関係」ではなく「互いに大人と大人の関係」であることを強く促される】という文脈の中で「交流分析」に触れていたところなど、交流分析を学び、交流分析士の資格を持つ身にはガッツリ深く刺さりましたし、
【全体性】という考え方そのものが、傾聴を学んだ人間であれば必ず知っている、カール・ロジャース先生(来談者中心療法の創始者)の3条件の1つである「自己一致」と同じ考え方ですし、
組織の【存在目的】を明らかにして、その組織の存在目的と各社員の存在目的(キャリア)のベクトルを合わせることこそ、人事の仕事の本質だと思っていますし、
【進化型パラダイムにおいては、周囲の人々の「欠点を見る」のではなく、「長所を生かす」ようになる】
なんて、まさに今の自分が目指したい方向性に近い。。んですよね。
また、「進化型パラダイムに従って活動している人」のことを「大志を抱いているが、野心的ではない人」と表現していることも、妙に気に入ってしまいました。(今の自分がそうなれているとは思わないのですが、そうなりたいと思っています。)
おそらく、この本を読んだ組織のリーダーが、中途半端に「進化型組織への変革」を目指して大失敗する。。ような事例も量産されてしまいそうな気もしますが、
でも、なんか、前向きに「進化型」を実践すべく動いてみたくなる本でした。
組織開発的なことに携わっている方には是非、お薦めです。
お薦め度:★★★★